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第5章 人間が正しくいきるためには
<真の仏教の教えを基盤とする人間社会>contents目次へ   ttplanningへ戻る

 第4章で正しい宗教と間違った宗教の定義を示した。多くの日本人がそれを誤解していることも示した。参考資料23に詳しく記述されているように、日本の宗派仏教も真の仏教ではなく日本独自の道を歩んでいる。それはそれなりに意味もあるのだろうが、2600年前にブッダが教えられた真の仏教は、我々日本人の社会生活の基盤になっていることを理解しなければならない。

 三宝(佛・法・僧)帰依

これが仏教徒の最も基本的な出発点である。三宝の佛・法・僧とは、まず仏は仏教の歴史上の開祖シャーキャ・ムニ(釈迦無尼)など多くの佛のこと、法とは仏の教え、僧は僧伽(サンガ)で出家僧侶の集団である。仏教徒となると同時に、三宝に帰依し、守らなければならない行動規範が課せられる。

 行動規範

  仏教徒として守らなければならない「戒」がある。その基本は「戒・定・慧」の三学

で、戒は日常生活の上で、みずから引き締めて、安易に流れ、だらしなく崩れないように心がけることである。我々の日常生活の中には常に、悪の誘惑が存在する。これに引き込まれないように在家信者、出家僧侶、共に守らなければならない五戒がある。

1.生き物を殺さないこと

2.盗みを働かないこと

3.性に関して乱れないこと

4.嘘をつかないこと

5.酒をむやみに飲まないこと

であり、三学の2番目の定(じょう)は「心の修行で、心を静める、心を統一する」こと。正しい仏教を教える教団では、修行が信仰の第一歩であり、これが信仰の基本と教える。

この定は、サンスクリット語では、samadhi或いはdhyanaのことで、中国語では「三昧」と「禅那」と音写されている。禅那の禅と定を合わせて禅定(ぜんじょう)となる。中国と日本の宗派宗教の禅宗はここから名前が来ている。

  三学の最後の「慧」はサンスクリット語のjnanaの訳であり、「いっそう優れた知恵」を指す。これにpra- を加えて、prajnanaとなり、音訳して「般若」となる。これは「超越的な理性の働き」という意味になる。「般若心経」は大般若経(600巻、300万文字)を一万分の一に圧縮したもので、仏教の教えの基本を276文字で表している。

 以上で仏教の基本体系は言い尽くされる、すべて悪しきことをなさず、善いことを行い、自己の心を浄めること、これが仏教の教えである。もし、この教えの尊さを知ったならば、多くの人たちを救うために教えてあげなければならない。日本の宗派仏教ではほとんどこれを実践していない。我々一般市民の社会生活の中で、この教えが矛盾しているだろうか? 決して矛盾していないと筆者は考える。ただこの教えを完全に守ることが如何に難しいか、である。唐の代表的詩人、白楽天が、師匠から「これが仏教の極意だ」と教えられ、「そんなことは3歳の子供でも知っている」と言うと、師匠は「3歳の子供でも知っているが、80歳の老人でもなかなか実行できない」と答えたという。

 仏教では人間存在の最も本質的な苦しみを、生、老、病、死の四苦と総称する。人間存在の本質は苦であり、その苦を超越、超克することは可能であり、そのためには修行をしなければならない。宗教とは何かを誤解したままの日本人の多くが、神社・仏閣に参り、手を合わせている。この人たちの多くが、修行をしているのではなく、ただ形だけのお参りで願いが叶うとか、苦を超越することが出来ると思い込んでいるのであろう。形だけではなく、修行をしていくと、1)仏(ブッダ)の説いた教え、2)仏とは何かを説いた教え、3)仏になるための教え、のことがわかってくる。修行者自身が仏になるのである。これはまったく科学と矛盾していない。アルベルト・アインシュタイン(1879-1955)も「仏教は近代科学と両立可能な唯一の宗教である」といっている。

 修行の道は、出家僧侶にとっては極めて厳しい。しかし在家信者であって、一般社会で仕事を持ちながらも修行は可能である。一般家庭の仏壇の前で、形だけではなく真の読経をすることである。真の読経とは、自我を捨てること、自分の利益のために祈るのではなく、先祖の人々、他がために祈ること、である。他がために祈ることによって、初めて功徳を得ることが出来る(利他行の心)。仏教徒として実践すべき、6つの修行徳目がある。これは6波羅密であり、布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧の六つのことで、大乗仏教における菩薩の実践すべき修行徳目である。

 実は多くの日本人が、基本的に、これら仏教の教えの心を持っている。悪いDNAもって生まれた少数の日本人がこの教えを知らず、悪業を営んでいる。悪いDNAをもった人間も悪い行動を起こさないために環境を変え、教育することが出来る。遺伝子工学の専門家によると、人間の善悪行動を決めるのはDNAによる部分60,環境によって変えられる部分が40%程度らしい。

 善いDNAをもつ日本人でさえも仏教の教えに従って、信仰に入ろうとしない。上記の仏教の教えについては、よい事と理解していても修行しようとはしない。その理由は次の2つが考えられる。

1)      日常生活上で恵まれた環境(経済的、健康上)にあって、宗教信仰が必要とは思わない。

2)      信仰に入っても、ご利益があるとは思わない。 

2)のご利益が得られないという理由によって信仰に入らない人は多い。この人たちの多くは、目先の短期的な利益だけを考えている人だからである。

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<再び宗教と科学の歴史>

 第1章から第4章まで、地球の歴史に始まり、遺伝子科学から見た生物の発展、そして人間が如何なる生命素質を所有しているのかを概観した。多くの人々が社会生活の中で多くの問題を持ち、しかも宗教や科学に対して大きな誤解を持ちながら生きていることに対して解決策を提供したかったからである。

 例えば、「はじめに」のところで引用した参考資料の岩波講座「宗教と科学」全10巻の中に、著名な人たちが執筆されているのにも拘わらず、多くの誤解の部分が見られる。まず199297日 第1刷発行の第1回配本、「宗教と科学の対話」では、対話の困難さが書かれている。冒頭にガリレイ裁判のことに触れ、宗教と科学は対話にならず、常に敵対関係に関心が向いていると述べられているが、当時の教会の担当者とガリレイの間で誤解されたまま裁判が行われたのであって、宗教と科学の対立ではなくて人間同士の誤解なのである。これをもって、科学と宗教が対話できないとはいえない。

 さらに、19843月に、欧米諸国と日本の科学者、哲学者、宗教家などが参加して「生命科学と人間の会議」が行われたときのことを引用されている。そのときに特別講演として仏教者の藤吉慈海氏が「仏教の生命観について」話をされた、とあり。師は仏教が如何に生命を大切にするかについて述べ、「比丘となった人、つまり一人前の立派なお坊さんは、お寺の庭にはえている雑草を抜くことも禁じられています」と言われた。ヨーロッパの生命科学者が----それにしては寺には草がはえていないと呟き、良く理解されなかった-----と引用して、科学と宗教の対話の難しさを強調されているが、これもただ一人のお坊さんが良く仏の教えを理解せず発言された結果であり、人間個人の間違いであり、このお坊さんの表現力不足なのである。(参考資料 25

 再び人間の歴史を遡ってみると、アフリカを出たヒトの祖先は紀元前(B.C.)3000年も前から中国の黄河文明や西アジアではシュメール人国家や古代バビロニア王国を形成した。南アジアにはインダス文明が栄え、中国では戦国時代が、アレクサンドロスが当方遠征によってギリシャからインドまで征服した。このように人間世界の始まりは全て、人間同士の戦いに始まり、他の国を征服して自国を拡大する歴史の繰り返しであった。

 紀元後も、世界の各地で人間同士の闘争が起こり、権力の強い人間が生き残り、他を征服し、国を拡大していった。この間の詳しい歴史のことは歴史書に譲り、例えば、第一章で引用した参考資料3を参照すると、4000年にも渉って世界の歴史が細かく記されている。

そのほとんどが、世界各地における戦争の歴史である。戦争以外の歴史は何故あまり取り上げられないのか?科学・技術の発展は多くの人に幸せを与えているはずであり、文化芸術の発展も多くの人に生きがいを与えているはずだが。世界の動きの中で、政治、とりわけ戦争の力が如何に人間生活に影響を与えているかが伺える。ここで、一挙に20世紀まで進んでみよう。「歴史は繰り返す」は真理である。20世紀に人類は多くの経験をした。

  世界の人口(ヒトの数)500万年前のほぼゼロからA.D.1500年頃まで緩やかに増加した。その後、世界人口は急速に増加している。1950年の約4億人から、19877月に世界人口は50億人、19921月に54億人を突破したので、4年半で4億人増えた。

これを図表17に示した。

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これは、毎秒3人、1日に25万人の増加であり、21世紀末には現在の2倍の110億人になると予想されている。なぜ人口が増えるのか? 発展途上国では成人識字率が低く、生理についても無知で、望みもしない子供を生んでいく、逆に人手の足りない山間の過疎地域では人を増やしたいと望む、色々の原因が考えられる。人口を増やすのか減らすのかは、その国のその時代の政治により政策が変わっていく。 

人口が増大するとどうなるか?世界の資産を平等に分配することは不可能となる。とりわけ食料と水は人間生活の最も大事なものだが、世界の各地で不足な地域が生ずる。不幸にもアフリカや中国の過疎地などで誕生した子供たちが、どんなに恵まれない環境で生活しているか認識しなければならない。多くの善良な人たちが努力をして、救助に努めても

全ての彼らを救うことが極めて困難である。20世紀に入ってからも相変わらず世界各地では戦争の繰り返しである。戦争以外の大きな出来事は、ヨーロッパの人間が新天地を求めて、アメリカ大陸へ移民していったことに始まる。1905~14年の10年間には、移民流入数は1000万人をこえている。1910年のアメリカ総人口は9200万人に過ぎなかったから如何に移民数が多いかがわかる。移民の数が増えただけではない、多くの都市に民族的集住が起こり、産業構造や文化までも変へていった。

1990年の国政調査によれば、アメリカ合衆国の総人口は24871万人、黒人が2999万人で12.1%,先住民が196万人で0.8%,アジア系727万人で2.9%,ヒスパニックが2235万人で9.0%を占めていた。

 ロシアでは、1905年第一次ロシア革命が起きる。多くの革命はこのように起こるという例になるが、労働者が皇帝に対して実情を請願することから始まっている。思うようには行かないのが普通で、発砲事件となって混乱が始まる。1917年にはロシア2月革命が起こり、皇帝が退位した。9月に共和国宣言があり、10月革命が起こり、レーニン・ソヴィエト政府組織が出来た。共産主義社会の始まりである。

 この後、1920年代も世界の各地で常に戦争や革命の出来事は絶えず、第2次世界大戦へと展開していく。全ての世界の動きを考察することは出来ないので、日本と米国とソ連に拘わることに絞ってみる。

1914/7/28  第一次世界大戦はじまる

 1917/11   ロシア革命

 1918/11     ドイツ休戦 第一次大戦終わる

 1920/01     国際連盟成立

 1922/12     ソヴィエト社会主義協和国連邦(USSR)成立

 1926/09     ドイツ国際連盟加入

 1926/01     日本昭和天皇

 1929/01     ソ連、トロッキー国際追放、粛清工作つづき、スターリンの独裁はじまる

 1929/10/24  ニューヨーク・ウォール街の株価大暴落、世界的経済恐慌おこる

1931/02     満州事変おこる

1933/03     米国、フランクリン=ルーズベルト(民主党)

  〃    日本、国際連盟脱退

1933/08     ドイツ 総統兼首相 ヒットラー

1934/09     ソ連、国際連盟加入

1936/02     日本ニ・ニ六事件

1937/07     日中戦争おこる

1937/11     日独伊三国防協定

1939/09~    第二次世界大戦はじまる

1940/09     日独伊三国軍事同盟

 1941/12~    日本軍真珠湾攻撃、太平洋戦争はじまる

 1945/05/07   ドイツ降伏し、第二次世界大戦終結

 1945/06     国際連合成立(50カ国)

  1945/07     米英ソ、ポツダム宣言 日本受諾 無条件降伏

この後は日本の戦後歴史と、世界の歴史の中で我々の生活に大きな影響を与えているものを少し取り上げてみよう。最も大きいのはソ連の共産主義社会の発展と、粛清、イデオロギーの戦いであろう。これが約75年続くのだが、一方はアメリカの資本主義社会の発展である。ヨーロッパからの移民で始まったアメリカ合衆国は、その後も多くの外国人の移民を受け入れ、多民族国家となっている。黒人奴隷の解放、南北戦争その他の歴史をきざみながら民主主義の国家形成を達成した。その思想は基本的にはキリスト教から来ているに違いないが、アメリカの発展を支えてきた多くのユダヤ系アメリカ人がいる。

聖書のマタイ伝の中に、富めるものは益々富み、そうでない者はますます落ちていく、というような表現部分がある。情報もまったく同様に、情報を保持し、発信するところには益々情報が集まってくることは真理である。この思想で始まったのが資本主義社会で、資本があるところに益々資金が集まる。集まった資金を元に、事業を展開して利益を生じれば、益々経営資源(人、物、金, 情報)があつまるのである。最近のアメリカ社会の行動はそれが行き過ぎてしまい、お金に執着する、悪の経営者が増えてきた。人や人の心を大事にしないのである。

最近過去約30年の日・米・ソ連に関連した主な動きを振り返ってみると、

      1980年         <![endif]>日本車の年間生産台数アメリカを抜き世界一に

      1981年         <![endif]>「強いアメリカ」をアピール、ロナルド・レーガンが第40代大統領に

      エジプト、サダト大統領暗殺、イスラム原理主義者の凶弾に倒れる

     1983年 ロッキード事件で田中被告に実刑判決、土光臨調が最終答申

     1984年         <![endif]>飢餓、15000万人アフリカに食料援助をFAOが世界に訴える

        1985年 ソ連 ゴルバチョフ書記長就任 ペレストロイカに着手 

1986年  <![endif]> 東京サミット、スペースシャトル爆発、チェルノブイリ原子力発電所爆発

1987年  <![endif]> ニューヨーク株価大暴落(ブラック・マンデー)  国鉄分割民営化

1988年  <![endif]> イラン・イラク戦争 8年ぶりに終結 リクルート事件発覚

1989年  <![endif]> 昭和天皇ご逝去 天安門事件 ベルリンの壁崩壊

1990年  <![endif]> 日本バブル経済崩壊 イラクがクウエート侵攻 民主化求め、東欧に変革の嵐 

1991  湾岸戦争終結 共産党が解体、ソ連邦が消滅

1992年  <![endif]> 米国クリントン政権誕生 日本・新政策集団発足

1993年  <![endif]> 日本55年体制が崩壊 自民伸びず、社会党惨敗 細川連立政権発足

1994年  <![endif]> 3党連立、村山内閣発足 

1995年  <![endif]> 神戸大地震 死者5000人越す 地下鉄サリン事件(オーム真理教)

1996年  <![endif]> 橋本政権3党連立維持 オーム裁判開始

1997年  <![endif]> 行政改革スタート 金融不況 山一、北海道拓殖銀行倒産

1998年  <![endif]> 参議院選挙に自民敗退 政権交代 小渕政権 世界的不況継続

1999年  <![endif]> 銀行・保険会社倒産 失業率 5%

2000年  <![endif]>  森内閣 ロシア大統領プーチン当選 米大統領にブッシュ

2001年  <![endif]> 小泉内閣 日本政治の大変革 アメリカ同時多発テロ アフガニスタン空爆

2002年  <![endif]> 雪印、日本ハム牛肉偽装発覚 北朝鮮拉致日本人5人帰国

2003年  <![endif]> 米国、過去最大の赤字 イラク・フセイン体制崩壊

2004年  <![endif]> 拉致被害者の家族帰国 パレスチナ アラファト議長死去

2005年  <![endif]> 郵政法案成立 内閣改造 自民党派閥崩壊

2006年  <![endif]> 安部内閣発足、行政官庁特に社会保険庁の悪行いろいろと露呈

2007年  <![endif]> 社会保険庁のひどさに国民あきれる 再び牛肉偽装事件、農水大臣の自殺

2009年        政権交代 民主党政権となる

このように、最近30年の世界と日本の状況は、毎年いくつかの大事件がおきている。20世紀初頭から続いた社会主義と資本主義の大国間の冷戦が終結したのは、世紀の一大事件であった。これで世界に平和が到来すると喜んだのも束の間、宗教の対立と思わせぶりな小国でのテロ事件が頻発、益々おかしな世界の動きとなっている。最初に述べたように宗教の対立ではなく、数パーセントの悪者人間による混乱であって、今いくつかの大国が振り回されている。もし全世界の人が仏教徒であったなら、このような混乱は絶対に起こりえない。仏教の心を持つ日本人は何をなすべきか、次に少々述べておきたい。

2010年3月11日  東日本大地震・大津波

政治経済に対する影響甚大、その後の政局に与えた影響により、世界的にも大きな影響を及ぼしている。民主党になってから、人々は多くの期待をした。これまで自民党が長年にわたって継続してきた多くの政策を否定し、国民のために国の未来の方向を変えてくれると期待したのである。

 例えば、国民生活に関係する日本経済の行方である。世界最大の借金を背負った日本の国の経済を基本から変えてくれるのではないかと期待した。国の予算が不足している原因は国の行政機関が無駄使いをしているからだ。各行政機関には隠し財産があって、これをあぶりだしていけば赤字予算は解消できると、国民に思わせて、行政改革に取り組んだ。しかし隠されていた資金は一部の行政機関のわずかの金額に過ぎなかった。

 東日本大地震の後処理に関する実行も、頼りないと思われる部分が多く、被災地区では多くの被災者が将来の見通しも立たずに困っている状態が続いている。

 民主党内の人材と政策実行の状況はまさにお粗末、折角、衆議院の圧倒的勢力を維持しながら、内閣の政策決定に協力をしない党員も多く、当初の期待に背いてしまった。

2012年12月  衆議院選挙で民主党が大敗北、少数野党に転落。3年間の民主党の政治は何だったのか?
 民主党から自民党政治に戻った、安部政権はここ10年閧フ日本政治の衰退を取り戻すべく、大胆な経済政策を打ち始めた。アベノミックスと呼ばれる積極的経済政策が果して今後の日本の将来を救ってくれるかどうか予測は難しいが、多くの国民がこれを支持したため、

2013年7月  参議院選挙で自民党と公明党の与党が圧勝して、衆参ねじれ現象を修正した。今後の自民党の責任は重いし、多くの国民が世界の中で再度日本の経済を基盤とした指導力を期待している。

<政治家のなすべき仕事---長期戦略が必要>

 4000年の間、人間は資産(主として食料・化石燃料)の奪い合いのために闘争を続けてきた。世界の歴史をマクロに見ると、一部の政治家が自己又はその一部のグループの利益を守るための政策をなしている結果と考えられる。もちろん立派な志を持つ政治家も存在するはずである。国の政治を司る国会議員が自分や出身地域の利益だけを守るために、都合のよい立法に走るなど、もっての他である。

 短期的な思考で立法を行うのではなく、長期の視野にたって大きなテーマに取り組むべきである。世界に真の平和をもたらすにはどうするかなど、大きな課題は多い。政治家の中には志を持ってその道に入った人も多いはずだが、政党や派閥の古い頭の政治家に押されてしまっているに違いない。

 民主党から自民党・公明党に政権が移った今、考えさせられるのは政治家の資質の事である。結局、政局を動かし、政変を起こすのは一部の有力議員の力に負うところが多い。折角新しい時代が始まると期待した政変も一部の有力と思われる政治家によって潰されてしまう。その原因は政治家の多くが個人の利益のためにのみ勢力を使い、国全体の大きな方向を変えて行こうとしない、その資質にかかっている。

<企業経営者のなすべき仕事---長期経営戦略が必要>

大企業、中小企業、ベンチャー企業によって、その経営のやり方は大いに違うといえるが、特に大企業は長期的に考えているかどうかで、その業績結果が大きく変わるのは真理である。ただ毎年、毎期、経営者は業績結果によって評価されるので、どうしても短期的にことを運ぼうとしてしまいがちである。

牛肉の偽装事件や品質問題を起こした企業の全てが、リスク管理を怠って、短期指向に走った会社である。さらに、お客様をだまし、従業員をそっちのけで、安易な会社経営をする人を許すわけにはいかない。上場企業のそうそうたる会社がこのようなことを犯した罪は深い。会社の中には一部悪いDNAを持つ社員がかならずいることであるが、その人を経営者に選んだトップは大きな責任を負わなければならない。

過去に立派な経営者は多く、そのことを認識されていた。松下電器の松下幸之助氏も他がために、お客様のために製品つくりをされた。その松下イズムが長い間松下を一流企業として残している元である。リコーの創始者市村清氏も、「人を愛し、国を愛し、仕事を愛する」三愛精神を企業に植えつけられた。その後の館林三喜男社長は晩年には、幹部社員に仏教の心を育むように社員教育を進められた。その次の浜田広社長は、経営を進めた結果、悟りを開き、お客様への「お役立ち」を経営の基本にされた。

最近では、京セラの創始者、稲盛和夫氏は世の中の営業マンのために、多くの著書を書き、コンサルティングをされ、その中で「6つの精進」を謳われている。最近2年閨i2011-2012)に亘ってJAL(日本航空)の経営再建に努力され、見事に達成されたのもこの考えが基礎になっている。

1)誰にも負けないで努力をする

2)謙虚にして驕らず

3)毎日の反省

4)生きていることに感謝する

5)善行、利他行を積む

6)感性的な悩みをしない

これは素晴らしいことであり、全ての項目が仏教の教えから来ている。

 以上は大企業における経営の基盤となる教えだが、中小企業でもまったく同じである。しかしこの精神だけで企業が発展するわけではない、研究・開発、製品つくり、販売全てに努力を積み重ねながら、短期的な安易な利益追求をしてはならないということである。

<学者のなすべき仕事---長期的課題を選べ>

 従来の国立大学が、独立法人となり、政府からの経営資源負担が毎年減少してくると、大学そのものが倒産に至る。実際、倒産した私立大学も現れた。各大学は自ら収入を増やす道をある程度作らなければならなくなった。教授でさえも、年功序列の終身雇用ではなくなるのだから、実績を上げていかなければならない。

 しからば、短期的に儲かる研究課題を---と短絡的に考えてはいけない。儲かる研究課題は企業が常に行っていて、しかもその達成スピードが大学とは比較にならない速さである。企業では出来ない基礎研究課題で、しかも人類の役に立つ課題を選択しなければならない。そこに仏教の精神が必ず役に立ってくる。

<参考資料>

25. 岩波講座 宗教と科学1 199297日 第1刷発行 岩波書店 「宗教と科学の対話」

26. 原口一博 著 「平和」核開発の時代に問う 2007110 日第1刷発行 中央精版印刷株式会社




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