著者(Authors) 著書名(Title)
   人間 この未知なるもの
      Man, The unknown ttplanningトップページへ戻る
1)アレキシス・カレル
Alexis Carrel
1920年代にノーベル生理学・医学賞を受賞したアレキシス・カーレルは1935年に「人間、この未知なるもの」という本を出版している。 この中で、彼は人間の活動形態のほとんどすべてを観察してきた。貧乏人と金持ち、健康な人と病める人、学識の高い人と無学な人、精神薄弱の人、狂気の人、抜け目のない人、犯罪者等と知り合いであった。また、農場主や労働者、事務員、商店主、金融業者、製造業者、政治屋、政治家、軍人、大学教授、学校教員、牧師、農夫、ブルジョワ、貴族等をも知っていた。さらに哲学者や芸術家、詩人や科学者、天才、英雄、聖人とも知り合っていた。

 このような環境下で、かれはロックフェラー医学研究所のためにサイモン・フレクスナーが集めた科学者の一人として、細胞組織の奥深く、計り知れない頭脳の中にあって、肉体的、精神的現象の基盤をなしている隠れたメカニズムについて研究したのである。 その結果、人間の体液に注目し、人間自体の細胞組織は常に変わっているのに、例えば、血清の成分は一定に保っていること、そして個人の固有のものであることを、指摘している。さらに、生きている人間の各器官の役割、体液の役割、そして人間の精神構造との関係にも触れている。さらに進んで、生物の基本単位である細胞の構造に議論を進めているが、残念ながらそのレベルは今日の遺伝子工学を基本とした生命科学からはるかに遅れた知識であった。当時としてはミトコンドリアが大事な役割をしているところまでであったらしい。

 しかし、最後の方で人間個人としての意味や精神活動にまで及んでいることは、著者が単に生理学・医学者というだけでなく、幅広い見識を持っていることを示し、これはまさに名著である。たとえ、現在のような遺伝子工学が発展していなかった当時としては、人間の本質をあらゆる面から捉えて、的確に未来を予言している。最後に言及している大事なことは、社会の落伍者として大罪を犯すような人間の体液は明らかに、普通の人とは違っていること、そのような人間を変える事は不可能であるから、優生学的に抹殺しなければならない、と恐ろしいことを言っている。
各章の標題は次の通り、

第1章 人間とは何か ---その多様な資質の未来---
第2章 「人間の科学」 ---分析から総合へ
第3章 行動する肉体と生理
第4章 創造する精神
第5章 人生の密度と「内なる時間」
第6章 適応の構造
第7章 「知的個人の確立」
第8章 人間復興の条件        
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